非婚での認知・養育費
非婚・未婚
未婚とは「まだ結婚していないこと」と定義されており、一度も結婚をしていないということをいいます。 老若男女を問わず、結婚をしたことが無い独身の身であれば、子どもの有無にかかわらず、結婚可能年齢に達していない18歳未満の方も、すべて未婚に含まれます。
一度でも結婚して離婚や死別をされた独身の方は「未婚」とはいわず、「離別」「バツイチ」や「死別」「未亡人」、もしくは「寡(やもめ)」「寡婦(かふ)」等といいます。
非婚とは「個人の意志として結婚しないことを選ぶこと、またその状態」と定義されておりますので、結婚をしていない点は未婚と同じですが、経済的事情であったり、親族の反対であったり、戸籍上の配偶者がいたり、等、夫婦別姓のためであったり、何らかの理由で、自ら結婚しない選択をしたことをいいます。 よって、結婚可能年齢に達していない18歳未満の方のことは非婚とはいいませんが、内縁(事実婚)は非婚に含まれます。
子の扶養義務
夫婦の場合は、戸籍法上の婚姻届出を出した夫婦であっても、未届の内縁(事実婚)であっても、扶助協力義務が生じます。 そして、母と子においては、出産の事実があるため、親子関係が認められ、子の扶養義務が生じます。 しかし、父と子においては、父と母が戸籍法上の婚姻届出をしていない場合の子ども(婚外子)については、父が子を「認知」または「養子縁組」しない限り、法律上の扶養義務が生じません。
子の認知
認知の方法としては、子の父親であることに同意して役所に認知届を提出するだけで認知(任意認知)が成立します。 なお、認知の届出は、出産前の胎児の状態であっても行うことが出来ます(胎児認知)。 認知をすることにより、子の父母の協議で父親を親権者として定めることもできますし、父が他界した場合の遺産に関する相続権も認められますが、将来的に父の介護や扶養義務を負う可能性もあります。 父親である男性が認知を拒否する場合、子の母が家庭裁判所に認知を求める調停を申し立てることが出来ます。 調停で男性が任意認知することに応じない場合には、裁判を起こすことが出来、DNA鑑定の結果などによって判決を取得すれば、認知(強制認知)させることが出来ます。
非婚の養育費
認知をしていない父と婚外子との間においても、養育費に準じて、父と子(子の法定代理人としての母)との間で、一定の期間、定期的に金銭給付を行うという合意をすることは可能ですし、その定めを公正証書とすることも可能です。 しかし、その場合、以下のとおり、通常の養育費と異なる部分が多々あります。
(1)差押の特例が適用されない | 法律上の扶養義務に基づく「養育費」とは異なり、民事執行法上の扶養費の特例(手取収入の半分まで、期限未到来の部分も差押可能)がありません。 |
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(2)公証人手数料や税金などの負担増 | 支払総額が「贈与」とみなされて公証人手数料が高くなります。贈与税の対象になる可能性もあります。 |
(3)死亡によって消滅しない | 支払義務者または受益者である子が死亡したとしても、特段の定めがない限り、請求権・支払義務は消滅せず、相続債権・相続債務になります。 |
水子供養
流産や中絶により妊娠4ヶ月(12週)以降に亡くなった場合、あるいは産まれて間もなく亡くなった場合、法的には死産として7日以内に役所へ死産届を提出する必要があります。 死産の場合には、火葬も必要になります。 当事者間の合意により、水子供養や火葬についての定めをする場合があります。 水子供養の方法としては、僧侶による読経供養、卒塔婆を立てる、地蔵尊へ参拝、お布施、等の寺院による手続き、あるいは自宅において位牌を購入して祀る、などの方法もあります。