不倫相手との関係清算
関係清算の方法
不倫関係の清算は、当事者双方の意思による解消または自然消滅か、当事者以外が別れさせるか、となります。
不倫当事者間での関係清算
自然消滅
各種のアンケートによると、おおむね、どの調査でも、不倫の継続期間は、1年以内に終了しているものが60%で、全体の90%程度は3年以内で終了しており、3年以上続くケースは全体の1割程度となっています。 科学的にも、PEA(フェニルエチルアミン)などの恋愛ホルモンと呼ばれる脳内物質(脳内麻薬)は、最大でも3~4年しか効果が持続しないことから、恋愛感情だけで関係が継続していられる期間は3年が限度であると言われています。 通常の夫婦であっても、司法統計上、離婚件数が最も多いのは婚姻期間3~5年の時期です。 よって、一定の期間経過によって自然消滅となることも、決して珍しくはありません。
不倫関係の解消理由としては、「バレた(バレそう)」「気持ちが冷めた」「自然消滅した」等が大半です。
いずれか一方からの解消申入れ
不倫当事者の一方から関係を清算させたいのであれば、なぜ不倫関係を終わらせたいのかという理由と、絶対に終わらせるという強い意志を、はっきりとさせておくことが大事です。
・社会的信用の喪失 |
・家族を失うリスク |
・職を失うリスク |
・慰謝料請求されるリスク |
・配偶者や子供への裏切り行為に対する罪悪感 |
・いずれ相手の熱が冷めて自分が切り捨てられるリスク |
・不倫交際期間が長くなると別れることが難しくなるリスク |
気持ちが冷めたとしても、先に話を切り出して理解をしてもらって綺麗に別れようとするのは、意外と難しいことが多いです。
直接気持ちを伝えて連絡を絶つ
交際解消を引き止められてしまうおそれ 被害感情や逆恨みから脅迫やストーカーなどの報復へ発展するリスク
綺麗に別れようとして回りくどい言い方をしても、相手に「上手く言いくるめようとしている」と受け止められたり、もしくは迷っているとか未練があると思われて、引き止めようとされることも多いので注意が必要です。
1)都合の良い関係なので、このまま継続していきたい |
2)スリルやドキドキ感を手放したくない(吊り橋理論) |
3)不倫している状態に純愛のように酔いしれてる(ロミオとジュリエット効果) |
4)自分の存在価値や承認欲求を満たしてくれる唯一の相手と感じている |
5)本気で好きになってしまっている(恋愛麻薬による中毒症状) |
6)都合よく弄ばれて体よく切り捨てられることは許せない |
7)貴重な年月や労力を費やしてきたから無駄には出来ない |
別れ話を切り出すことで脅迫へ発展
「愛しさ余って憎さ百倍」という言葉がありますが、不倫の場合、別れ話を切り出された側からすると、許されない関係をした同罪の仲間という意識もあり、半ば強引に引き止めても公になることを恐れて無理に関係を切らないだろうと見透かされたり、もしくは自分だけが裏切られて苦しむのは許せないという恨みや怒り抱かれたりして、脅迫的な言動に出られてしまうことは意外と多くあります。
「あなたの配偶者に二人の関係を全部バラす」 |
「勤務先にレイプされたと訴えます」 |
「裸の写真や性行為の動画をばらまく」 |
「自殺する」「殺してやる」 |
「人生を滅茶苦茶に壊してやる」 |
「今までに費やしたお金や時間を全部返せ」 |
連絡頻度を減らして自然消滅を図る
相手も気持ちが冷めていたり、イケナイ関係だと感じているのあれば、そのまま自然消滅となる場合もあり得ます。 ただし、他に好きな異性が出来たのでは無いか?元さやに戻ろうとしているのでは無いか?等の疑念を抱かれる場合もあります。
転居するなど物理的な距離を遠くする
転居するなど物理的な距離を遠くするのは、状況が許すのであれば、比較的効果的な方法です。
「物理的な距離は心理的な距離」といわれ、心理的な距離と物理的な距離には強い相関性があります。 人は誰でも、親密度が高まれば物理的な距離も縮まりますし、心を許せない相手に対いては一定の距離を保とうとします。
人は「行動」と「気持ち」が一致しないと「認知的不協和」といって不快に感じ、脳は自分の取った「行動」に「気持ち」を合わせようとします。 物理的な距離を縮めれば心理的な距離も近づけようとしますし、物理的な距離が遠ざかるほど気持ちも離れる傾向にあるということです。
わざと相手が嫌がることや嫌悪を感じることをして嫌われる
身勝手な要求、逆ギレ、遅刻やドタキャン、などをする。 相手の欠点をあげつらう 愚痴や不満を並べる、性行為を拒絶する などなど。
下手に綺麗に言いくるめて「良い人」になるより、相手から嫌われて「嫌な奴」だと思われた方が後腐れなく終わる可能性は高いです、
第三者を通じての警告
弁護士や行政書士に依頼をして内容証明(接近接触禁止の通告)を送ってもらう。 警察にストーカー相談をして接触禁止の警告をしてもらう。 など。
不倫期間が短い場合であったり、相手に社会的立場や家族など守るべきものがある場合には効果的です。
不倫された方からの関係清算
裁判を起こしても「不倫交際」そのものを強制的に禁じる術はありません。 裁判において請求できるのは、あくまでも「慰謝料」の支払のみです。 そのため、関係清算させるためには、当事者に関係を断ち切るべき必要性を認識させる必要があります。
まずは不倫の証拠を集めること 何も証拠が無いまま慌てて問い詰めても、シラを切られてしまって、かえって、後で証拠隠滅や口裏合わせをされてしまう危険がありますので、まずは「不貞行為」の証拠をおさえておくことが重要です。
法的に不法行為となるのは、肉体関係であり、プラトニックな恋愛そのものは原則として不法行為になりません。 そのため、2人で一緒に宿泊またはホテルにいたこと、または性行為をしたことが分かる証拠が必要です。 ・ラインやメール、写真、領収書、音声や動画、など
(a)不倫した配偶者本人に対して
○配偶者本人との話し合い
話し合いをする場合、可能であれば、会話の録音をしておくことをお勧めします。
バレてしまったことで素直に認めて謝罪し関係を断ち切る場合も多いです。 きちんとした誓約書面を書かせることも重要です。 ただし、不倫した配偶者が「恋は盲目」状態で気持ちが舞い上がってしまっている状態だと、理屈が通じず、話し合いが難しくなることもあります。
不倫した配偶者本人に関係を断ち切る意思があるのであれば、然るべき「誓約書」に署名捺印をさせると良いです。
誓約書に記載すべき項目 ・不倫の事実を認めての謝罪 ・交際解消、接近接触しない旨の誓約 ・違反したら慰謝料金●●●万円を支払う等の罰則
(b)配偶者の不倫相手に対して
○内容証明郵便で慰謝料請求をする
弁護士や行政書士に依頼をして、100万~300万の慰謝料請求書面を内容証明郵便で送り付けるのも効果的です。 通常の場合、不倫の事実が公になることをおそれたり、不法行為として関係継続が許されないこと、慰謝料支払いの経済的負担が大きいこと、などから、真剣に不倫関係を清算することを考える人が大半です。
○示談書
相手が不倫の事実を認めて謝罪し、関係清算することを承諾した場合には、交際解消の示談書(交際禁止の誓約書)へ署名捺印させることで、あとで手のひら返しをされたり関係が再燃するリスクを抑止することが出来ます。
示談書に記載すべき項目 ・不貞行為の自認、謝罪、関係解消の誓約 ・第三者への口外禁止 ・慰謝料の支払 ・再度接触した場合の違約金の定め ・求償請求しないこと
○親族や共通の知人、関係者などに相談する
自分や配偶者の親兄弟や共通の知人などで、信頼して相談することの出来る人がいる場合には、その人に事情を話して説得してもらうという方法もあります。
社内不倫の場合、不倫当事者の上司に相談して、関係を清算するように説得してもらうという方法もあります。 もちろん、この場合、どちらかが職場を辞めざるを得なくなる場合もありますし、将来的な人事評価にマイナスとなることは覚悟しなければなりません。
不倫相手の親兄弟にばらすというのは、相手に嫌がらせだと受け止められてしまって感情的な反発を引き起こす可能性もありますので、裁判外での示談解決には逆効果となる場合もあるので注意が必要です。
○調停申立・訴訟提起
内容証明や示談交渉などで関係清算にならない場合、または、そもそも裁判外での解決が見込めない場合には、弁護士に依頼をして不倫相手に対する慰謝料請求の訴訟を提起してもらうのも効果的です。 相手に配偶者や社会的地位がある場合、公になることを避けて交際をやめることが多いです。 ただし、配偶者が家を出て不倫相手と一緒に暮らしているような場合は交際解消にならずに慰謝料を支払って離婚する方向に話が進むことが多いです。
(×)やってはいけないこと 以下のようなことは、威力業務妨害、名誉棄損、脅迫罪、強要罪、などの法的問題に発展する恐れがあるので、しないようにご注意下さい。 ・相手の勤務先に怒鳴り込む ・SNSなどに書き込む ・写真や動画をネット上に載せる ・別れさせ屋などの工作業者に依頼 ・匿名の怪文書をばらまく