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子どもの養育費の決め方

養育費とは

養育費とは 養育費とは、未成熟な子が社会的に自立するまでに必要となる監護養育のための費用のことをいいます。 子の父母が共同生活をしている場合には父母が分担協力して養育を行いますが、子どもの父と母が一緒に暮らしていない場合であっても、親として子どもの扶養義務はありますので、子を監護していない親(非監護親)が監護している親(監護親)に対して監護養育にかかる費用(養育費)を支払うことになります。

養育費の内訳養育費には、子どもが日々生活していく上で生じる費用として、衣食住費、教育費、医療費、娯楽費などが含まれます。
親子や兄弟姉妹間などの親族間の扶養義務は「生活扶助義務」といって、自己の生活を保ったうえで余裕があれば、その範囲内で行えば足りるものですが、親の未成熟子に対する扶養義務は「生活保持義務」といって、親は子に対して自己と同程度の生活を常にさせるべき義務とされております(大阪高等裁判所平成6年4月19日審判)。


【金額】

養育費の金額の取り決め方法については、子の父母で話し合って決められるのであれば、話し合って決めるのが一番最善です。

厚生労働省が公表した令和3年度(2021年度)の「全国ひとり親世帯等調査結果」によると、ひとり親家庭が支払を受けている養育費平均月額は以下のとおりです。

令和3年度「全国ひとり親世帯等調査結果」平均養育費(月額)
子ども1人40,468円
子ども2人57,954円
子ども3人87,300円

平均というのは、一部の高額支払者によって額が引き上げられてしまうため、その金額を支払う人が多いということではありません。

最高裁判所が公表している令和4年の司法統計における、離婚調停・審判の成立した離婚事件において、夫から妻に支払われる養育費の最多の金額帯は2万円以上4万円以下となっております。

実際の金額は、父母の年収や子どもの人数、その他、個別具体的な事案に応じて決められるものになりますが、裁判所から公表された養育費算定計算式、および、その算定式に基づいた養育費算定表が、裁判実務でも使用されているため、参考になります。

もちろん、こちらについても絶対的な基準というわけではなく、一般的な基準の目安ということになります。
養育費算定表は、子の人数(1~3人)と年齢(0~14歳と15歳以上)に応じ9つの表に分かれています。
そして、父母の職業種別は、給与取得者か自営業者の2種類で区別されており、年収は、給与取得者は2000万、自営業は1567万まで、すべての子どもについて一方のみが監護親となる場合にのみ対応しています。
子どもの人数は1人~3人まで、子どもの年齢については14歳以下と15歳以上とで分類されています。
給与所得者の場合は源泉徴収票の「支払金額」を年収として、自営業者の場合は確定申告書中の「課税される所得金額」を年収として、計算します。
自営所得と給与所得の両方がある場合には、例えば14歳以下の子が1名のみで、支払義務者が自営所得185万円と給与所得350万円を得ているとしたら、算定表の自営所得185万円は給与所得250万円に換算することが出来ますので、250万円と350万円を足した合計600万円の給与所得とみなして計算することが出来ます。

なお、裁判所が公表している算定表では、以下の場合には対応しておりません。

年収が給与取得者は2千万、自営業は1567万を超える場合
子どもが4人以上いる場合
連れ子(他の配偶者との間の子)がいる場合
複数の子どもたちの監護者が別々の場合

算定表では、公立の中学校および高校でかかる費用をもとに計算されており、私立学校に進学する場合や大学に進学する場合の費用は含まれておりません。

なお、児童扶養手当は、養育費の補填的な意味合いの性質のものであり、取り決めた養育費の月額の8割相当額が所得とみなされ、減額または不支給の取り扱いとなることがあります。

【支払期間】

支払期間については、20歳まで、または大学卒業するまで、と定めることが一般的に多いです。
なお、成人となる年齢は18歳に引き下げられましたが、未成熟子の養育必要な期間は原則として20歳または大学卒業までとされています。
ただし、介護を要する障害を持つ子の場合等には、もっと長く設定することもあります。

【支払時期】

支払時期は、原則として毎月1回、月末払ということが大半ですが、年金受給者など収入が隔月となる場合で2ヶ月に1回と定めるということもあります。
一括払いの定めは、必要やむを得ない理由のない限り、家庭裁判所などでは認めておりませんし、贈与税の課税対象となる可能性もありますので注意が必要です。
しかし、長期にわたる海外移住や治療、服役、その他のやむを得ない事情によって一括払を定める場合には、万が一子どもが途中で死亡した場合の予定残金に関して清算をどうするか等も取り決めしておくと良いです。

【支払方法】

監護親名義の預貯金口座、または、その子の名義で専用の口座を開設して、振込送金の方法によって支払する方法が一般的です。
子供が複数いる場合は、代表して第1子名義の口座を使用するのも良いと思います。

【特別費の定め】

子どもの病気や怪我の治療等のために係る費用、部活動でかかるユニフォームや道具代、遠征出張費、習い事や進学塾に通う場合に係る月謝や教材費、私立学校の入学金や授業料、海外留学費、など、養育費に含まれていない特別な費用については、別途協議で定めることが一般的ですが、予め定めておくケースもあります。




【養育費不支給の合意】

子の父母の間で「養育費不支給の合意」や「面会交流しない合意」をすることは可能ですが、子ども自身からの固有の権利としての「扶養請求権」は消滅しませんし、合意成立後であっても、事情変更が生じた場合に「減額請求」や「増額請求」が出来ることと同様に、請求することが認められます。
養育費の性質は、子の養育義務を履行するために支払うものであるため、法的に争った場合には、遠距離によって面会交流できないことを理由に支払を拒否することは出来ませんし、逆に養育費を受け取らないことを条件に面会交流させないということは認められていません。
ただし、裁判でも、DVや児童虐待、または子の心身や傷病などの事情で、子の福祉の観点から面会交流させないことを認める場合はあります。




扶養義務 父母当事者間で合意が成立した場合には、取り決めた内容について、後日紛争が生じないように、口約束ではなく書面に残すようにする方が安全です。

なお、養育費に関する合意内容を公正証書として作成しておくと、公文書として原本が公証役場に保管されるため、紛失や破損、盗難、改ざんなどのリスクが回避出来ます。
また、公正証書に「強制執行認諾条項」を定めておくと、いざ不払されたときには、直ちに強制執行の申立をすることが出来ますので、給与や預金その他の財産の差押をすることが可能です。

相手と話し合いをしたくない、または話し合いが出来る状態ではない、という場合には、弁護士に依頼して代わりに相手と交渉してもらうことも出来ます。
子の両親の間の協議で条件内容の合意が得られない場合には、家庭裁判所に調停申立てをして調停員を通じた話し合いで決めるか、家庭裁判所から審判の決定をしてもらうことが出来ます。

調停によっても話がまとまらない場合、または調停や審判をすることが出来ない場合、もしくは審判の決定に不服がある場合には、訴訟を起こして判決によって決定する必要があります。

民法766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前2項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
前3項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。

【成立後の条件変更】

条件変更

協議や裁判などで養育費の条件が確定した後でも、怪我や病気、リストラ、災害、扶養家族の人数の増減、その他の事情の変更が生じた場合には、当事者間の協議によって変更することが出来ます。
或いは、家庭裁判所に対して「養育費増額請求調停」または「養育費減額請求調停」を申し立てることも出来ます。


養育費算定表

裁判所が令和元年12月23日に公表した標準算定方式・算定表(令和元年版)です。


 1 子どもが一人(0歳~14歳)の場合

 2 子どもが一人(15歳以上)の場合

 3 子どもが二人(2人とも0歳~14歳)の場合

 4 子どもが二人(0歳~14歳と15歳以上)の場合

 5 子どもが二人(2人とも15歳以上)の場合

 6 子どもが三人(3人とも0歳〜14歳)の場合

 7 子どもが三人(15歳以上が一人で0歳~14歳が二人)の場合

 8 子どもが三人(15歳以上が二人で、0歳〜14歳が一人)の場合

 9 子どもが三人(3人とも15歳以上)の場合





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