内縁解消の契約
内縁解消
内縁は戸籍法上の届出をしていないものの、「準婚姻関係」として法律上の夫婦と同様に法的な保護を受けます。 そのため、内縁関係解消に関する公正証書で取り決める内容は、概ね離婚公正証書と同じとなります。 内縁期間中に築いた共有財産についての「財産分与」もありますし、一方が内縁解消の責任を負う場合には「慰謝料」の支払もあります。 夫婦の一方が年金に加入し、他方が被扶養配偶者として第3号被保険者届が提出されている場合には、その期間についてのは「年金分割」も可能です。 認知した子についての「養育費」の支払や「面会交流」についても定めをしておくことが出来ます。
内縁解消と離婚の違い
連れ子との養子縁組については、そのまま継続するか離縁するかを定め、離縁する場合には届出が必要となります。 また、法律婚の夫婦とは違い、共同生活の事実によって認められている関係であることから、別居期間中の婚姻費用分担については認めてもらうことが難しいため、定めないことが多いです。 任意後見契約をしていて合意解除する場合は、合意解除証書を作成して公証人の認証を受け、登記申請をする必要があります。 遺言公正証書を作成していて撤回する場合には、公証役場で撤回の申述をするか、新たな内容で遺言公正証書を作成する必要があります。
内縁解消の公正証書の文例
内縁関係解消に伴う給付契約公正証書 | ||||
本職は、当事者の嘱託により、次の法律行為に関する陳述の趣旨を録取し、この証書を作成する。 | ||||
夫 ○○ □□(以下「甲」という)と妻 ○○ △△(以下「乙」という)とは、本日、甲乙間の内縁による夫婦関係の解消に関し、以下のとおり合意し、本契約を締結した。 | ||||
第1条 | (養育費等) | |||
甲は乙に対し、甲乙間の未成年の子○○ ☆☆(令和 年 月 日生、以下「丙」という)の養育費として、離婚届の提出の有無にかかわらず、令和●●年●●月より丙が22歳に達する日以降に最初に到来する3月まで、ただし、大学等(大学、短期大学、専門学校等を含む)を卒業していない場合には、卒業する日の属する月まで、毎月末日限り、各金●●万円宛を、乙の指定する次の口座に振込送金する方法により支払う。 | ||||
銀行名 ××銀行 支店名 ××支店 預金種別 普通口座 口座番号 01234567 口座名義 ○○ ☆☆( ) | ||||
2 | 送金に要する費用(振込手数料等)は、甲が負担するものとする。 | |||
3 | 上記養育費は、物価の変動その他事情の変更に応じて、甲乙協議の上、増減できるものとする。 また、丙の大学進学の費用その他の教育費、及び事故又は病気などの特別な費用については、甲乙が協議の上、別途甲が乙に対し、その必要費用を支払うものとする。 | |||
4 | 丙が大学等に進学しなかった場合や、進学浪人や留年などによって第1項に定めた期間以降も大学等に在籍していた場合には、養育費の支払い終期について、別途、甲乙間で協議して決定するものとする。 | |||
5 | 甲と乙は、相互に、転職や再婚、養子縁組その他、養育費の額の算定に関して影響を及ぼす虞のある重要事項が生じた場合には、遅滞なく相手方に通知することを約束するものとし、必要に応じて、別途協議出来るものとする。 | |||
第2条 | (養子縁組の解消) | |||
甲と乙は、甲と乙の実子である○○ ☆☆(令和 年 月 日生、以下「丁」という)とが養子縁組解消することに合意し、養子離縁届については、乙が、令和 年 月 日までに、■■区役所に届け出るものとする。 | ||||
第3条 | (慰謝料) | |||
甲は乙に対し、慰謝料として、金 万円を、令和 年 月 日限り、一括にて、乙の指定する次の口座に振込送金する方法により支払う。 | ||||
銀行名 ××銀行 支店名 ××支店 預金種別 普通口座 口座番号 01234567 口座名義 ○○ ☆☆( ) | ||||
第4条 | (財産分与) | |||
※※※ (省略) ※※※ | ||||
第5条 | (期限の利益の喪失) | |||
※※※ (省略) ※※※ | ||||
第6条 | (通知義務) | |||
甲と乙は、相互に、第3条及び第4条(1)に定める分割金の弁済が完済に至るまでの間、転職や職業の変更、自宅の転居や連絡先電話番号の変更などが生じた場合には、遅滞なく相手方に変更内容を通知しなければならない。 一方が上記の申告を怠った場合において、必要やむを得ずに相手方が調査会社等に調査を依頼した場合、申告を怠った側が、調査費用等の実費を相手方に支払わなければならない。 | ||||
第7条 | (誓約事項) | |||
甲と乙は、相互に、内縁期間中の夫婦間しか知りえない情報や、相手方の名誉や尊厳に関わる事項につき、第三者に口外・漏えいしないことを約束し、違反した場合には、損害賠償請求に必要な裁判費用や弁護士費用、その他の必要な費用を、相手方に支払わなければならない。 | ||||
第8条 | (面会交流) | |||
乙は甲に対し、甲が毎月1回程度、丙と面会交流することを認容する。 ただし、面会交流の日時、場所、方法等の必要な事項は、丙の福祉を害することがないように甲乙互いに配慮し協議決定する。 | ||||
第9条 | (年金分割に関する定め) | |||
甲(第1号改定者)と乙(第2号改定者)は、本日、厚生労働大臣に対し、対象期間に係る被保険者期間の標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき按分割合を0.5とする旨合意する。 | ||||
第10条 | (専属的合意管轄条項) | |||
甲及び乙は、本契約に伴う一切の紛争について、第一審の管轄裁判所を乙の住所地を管轄する裁判所とすることに合意した。 | ||||
第11条 | (清算条項) | |||
甲と乙は、離婚に伴う財産上の問題に関し、本証書に定めるほか一切の債権債務が無いことを確認し、名目の如何を問わず、何等の請求を行わないことを相互に確認する。 | ||||
第12条 | (強制執行認諾条項) | |||
甲は、本証書記載の金銭債務を履行しないときは、直ちに強制執行に服する旨陳述した。 |