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夫婦間の契約

夫婦間の契約について

夫婦間の契約

原則として、契約自由の原則によって、夫婦間の契約も、法律の定めや公序良俗に違反しない限りは有効に成立します。
ただし、一般的には、夫婦関係における契約というのは、通常の商取引とは異なり、夫婦関係の平穏や家庭のあり方に関する定めをすることも多く、明確な期限や条件、対価などが確定していない性質の定めも多くありますので、注意が必要です。


夫婦間契約の取消権

民法では、夫婦の間で取り交わされた契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができるという規定があります。


夫婦間の契約の取消権
民法 第754条(夫婦間の契約の取消権) 夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

この条文が規定された理由は、相手の気持ちを繋ぎ留めたいために、その場しのぎで何でも応じてしまったり、情にほだされて拒めなかったり、強要されて逆らえない状態で合意させられたりすることが想定され、法律によって強制することは、夫婦間の平穏を害するおそれがあり、法律の関与は最小限に留めるべきであるという趣旨によるものであると言われています。

一般の契約と同様に、夫婦間の契約においても、詐欺や強迫など意思表示に瑕疵がある場合には「取消」が可能です。
この取消権については、追認可能な時から5年、および行為時から20年という、消滅時効および除斥期間の定めがあります(民法第126条)。

一方、婚姻期間中いつでも取り消せるという規定があり、これに関しては、取消可能な時期が問題になります。

実際に争われた事案において、最高裁判所は、昭和33年3月6日、破綻に瀕しているような場合になされた夫婦間の贈与はこれを取消しえない」という判決を下しました。

さらには、昭和42年2月2日にも、最高裁判例は、民法754条にいう「婚姻中」とは形式的に婚姻が継続していることではなく、形式的にも実質的にもそれが継続していることを意味すると解釈し、婚姻が実質的に破綻している場合には、それが形式的に継続しているとしても、同条の規定により、夫婦間の契約を取り消すことは許されないものと解するのが相当であるとの判決を下しました。

つまり、事実上破綻している状態で取り交わした契約は取り消すことができませんし、仮に夫婦円満な状態で取り交わした契約であっても、夫婦の関係が実質的に破綻した以降であれば、もはや取り消すことが出来ないということです。

実際のところ、取消の有効無効が争いとなるときには、夫婦関係が破綻状態にある場合が大半です。
例えば、離婚協議書を取り交わしたり、離婚給付契約公正証書を作成するのは、離婚前、すなわち婚姻期間中であることが多いですが、通常、離婚後に、その契約を取り消すことは不可能です。

よって、夫婦間の契約が取り消されるケースというのは、極めて限定的であるともいえます。


婚前契約

婚前契約なお、夫婦間の契約の取消しを回避するために、結婚する前に「婚前契約」を取り交わすケースもあります。
この婚前契約のうち、夫婦間の財産関係に関して定めるものを「夫婦財産契約」といいます。
夫婦財産契約においては、法定財産制(夫婦間の財産関係に関する民法の定め)と異なる定めを行うことも可能です。

法定財産制による定め
民法 第760条(婚姻費用の分担) 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
民法 第761条(日常の家事に関する債務の連帯責任) 夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。
ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。
民法 第762条(夫婦間における財産の帰属) 夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
2 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。

夫婦間の財産に係る婚前契約そのものは有効ですが、婚姻の届出の前に登記をしないと、第三者には主張することが出来ません。


第三者に対する対抗要件
民法 第756条 夫婦が法定財産制と異なる契約をしたときは、婚姻の届出までにその登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができない。

夫婦財産契約のことを欧米では「プレナップ(prenup)」といい、裕福層・富裕層の方々を中心に普及しています。
日本では、あまり浸透しておりませんが、資産家や裕福層の方、子どもや親族に財産を残したり家業を引き継がせたい方、などには有効な方法になります。


無効となる条項

夫婦間の契約であっても、法律の定めや公序良俗に反するような定めについては法的な効力が否定されます。

無効となる可能性のある条項の例
同居義務や扶助義務を否定する条項
子どもの養育義務を否定する条項
貞操義務を否定する条項
職業選択の自由に反する条項
男女平等原則に反する条項
基本的人権に反する条項
日常家事債務の連帯責任を否定する条項
一方の申出で自由に離婚出来る趣旨の条項
一定の金額で離婚出来るという条項
親族間扶養義務に反する条項
実現不可能(原始的不能)な条項
離婚後に再婚や居住地域、職業などを制限する条項




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